ナフサ高で海外営業が樹脂見積を守る価格改定と代替調達の準備

2026年6月1日時点で、ナフサ高と樹脂の供給不安は、海外営業にとって見過ごせないテーマです。ナフサはプラスチック、合成繊維、合成ゴムなどの起点になる石油化学原料です。つまり、樹脂部品、包装材、フィルム、容器、接着剤、塗料を扱う会社では、海外顧客への見積と納期にじわじわ効いてきます。

これは資材部門だけの話ではありません。営業が古い単価で長い見積期限を出すと、受注してから採算が崩れます。逆に、値上げだけを急に伝えると、顧客は「なぜ今なのか」が分からず、競合比較へ流れます。海外営業が先にやるべきことは、価格改定の理由を商談で説明できる形に整えることです。

価格改定前の営業判断

最初に見る三つの数字

まず見るのは、原材料比率、見積有効期限、顧客の価格改定タイミングです。原材料比率が高い製品ほど、ナフサや樹脂価格の動きが利益を直撃します。見積有効期限が長すぎる場合は、受注時点で仕入れ条件が変わっていることがあります。

顧客側にも予算締めや販売価格の改定時期があります。相手がすぐ値上げを受けられないなら、単価だけでなく、数量、納期、仕様、支払条件を一緒に見ます。値上げ交渉は、単価を上げる話ではなく、赤字受注を避けながら供給を続ける話として組み立てるのが現実的です。

もう一つ大事なのは、値上げしない場合の損失も数字で残すことです。営業会議では「顧客が嫌がるから上げにくい」で止まりがちです。しかし粗利がどこまで下がるかを見せないと、受注可否の判断が感情論になります。

ナフサ高が商談へ出る場面

包装材と樹脂部品の説明

顧客は「ナフサ」と聞いても、自社の発注と結びつけにくいことがあります。そこで、包装材、樹脂成形品、フィルム、緩衝材、ラベル、接着剤など、見積に入っている項目へ置き換えて説明します。部材名で話すと、相手は自分の在庫や販売価格を考えやすくなります。

石油化学工業協会の2026年3月実績メモでは、中東情勢の影響や定修集中もあり、エチレン生産が前月比で減少し、稼働プラントの実質稼働率試算も68.6%とされています。丸紅経済研究所も、ナフサ不足が川下製品へ遅れて表れるリスクを指摘しています。数字はそのまま営業トークに使うのではなく、部材の値上げや納期回答が遅れる理由を説明する根拠として使います。

代替調達と仕様変更の打ち手

同じ品質を守る選択肢

価格が上がる局面では、代替調達を先に考えます。ただし、安い材料へ替えるだけでは危険です。食品、医療、電気部品、自動車向けでは、材質変更が品質、規格、顧客承認に影響します。営業は「替えられるか」ではなく、「どの承認が必要か」まで確認します。

候補は三つあります。一つ目は、同じ仕様で調達先を増やす方法です。二つ目は、同等グレードの材料へ変更する方法です。三つ目は、包装仕様や梱包単位を変えて材料使用量を減らす方法です。海外顧客には、値上げ案と代替案を同時に出すと、交渉が価格だけで止まりにくくなります。

海外顧客への伝え方

値上げ前に出す資料

いきなり「原料高なので値上げします」と送ると、相手は拒否しやすくなります。先に出すべき資料は、現行価格の有効期限、対象製品、影響する材料、次回見積からの変更幅、代替案、回答期限です。英語メールでも、この順番なら伝わりやすくなります。

特に海外代理店には、最終顧客へ説明する時間が必要です。代理店の先に小売、工場、公共案件がある場合、急な価格改定は信頼問題になります。営業担当は、相手が社内や顧客へ転送できる短い説明文を作って渡します。価格改定は、早く言うほど交渉になり、遅く言うほど謝罪になります

今日の営業メモ

商談前にそろえる材料

  • 対象製品ごとの樹脂・包装材・副資材の比率
  • 現在の見積有効期限と、次回改定を入れる日付
  • 値上げ幅だけでなく、数量条件と納期条件の代替案
  • 顧客が社内説明に使える短い根拠資料
  • 仕様変更時に必要な品質承認と確認担当者

ナフサ高は、ニュースとして読むだけなら遠い話に見えます。しかし海外営業の現場では、見積、在庫、納期、代理店説明に直接つながります。今日の商談で見るべきなのは、法律名ではなく、この単価で受けてよいか、いつまで有効にするか、代替案を同時に出せるかです。

最後に、社内向けの一行メモも残します。「原料高のため値上げ」では弱すぎます。「対象部材、影響時期、代替案、顧客回答期限」の四点を並べると、上司も購買も判断しやすくなります。海外営業の記事で扱うべきなのは、こういう商談の動かし方です。

参考: 石油化学工業協会 2026年3月実績概要メモ石油化学工業協会 エチレン換算輸出入実績丸紅経済研究所 ナフサ不足の影響レポート

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