では、ここからは、海外取引先の新規開拓の具体的なやり方に進んで参りましょう!
バイヤーは商品を探そうとする時にインターネットを活用します。前項でもご説明した通りの場所、方法で、あなたへとつながる情報を検索しているのです。しかしながら、日本の熱心な「輸入ビジネス」の実践者がインターネットを活用し、世界中の商品を開拓している事実に対して、「輸出ビジネス」を行おうとする人は、意外とインターネットを活用できていないのが実態です。その理由は、海外営業、輸出ビジネスへのインターネット活用は、「語学力」+「インターネット知識」を体系化したノウハウがなければ実践できないものだからです。
中小企業にとって外国での販売活動、自社商品の海外でのPR活動は容易ではありません。いきなり現地に飛び込んだところで、どうなるものでもありません。経費を削減するためにも、下調べはもちろん、販路拡大にも新商品の開拓でも、国内からインターネットをフルに活用することが重要になります。しかしながら、仕入れはともかくとしても、売り込みをするためには、英語版や各国語のホームページを作成し、効果的にPR、SEM(インターネット広告)を行う必要があり、ブランドのない中小企業にとって、海外営業でのインターネット活用の敷居は低くはありません。
ようやく英語版のホームページを立ち上げると、今度は日本語の検索エンジン上位表示競争にプラスして英語版でも更に過酷なSEO、SEM競争に巻き込まれることになります。適切な予算管理を行わなければ、成約率が低いまま無駄に費用ばかりかかるという結果に陥りかねません。
直訳で翻訳されたホームページは洗練されていない印象を与えます。また、検索キーワードという側面から見ても大変不利になってしまいます。業界用語、専門用語も交えた上で、現地で使われている語句、一般的な言葉を使いましょう。更に、相手がどのような言葉を用いて検索エンジンを叩くのか、その言葉の組み合わせを英語で考え、ページに組み込むことがポイントになります。
翻訳業者や現地人であっても商品、サービスについて知らない人が書いた文章はおかしな言い回し、不細工な文章になっていることがあります。自社の商品、サービスに詳しい“自社の社員”が、後でご説明しますキーワードを意識した原稿を、母国語で、しかも自然な文章で作成しなければなりません。翻訳を業者に依頼する場合は、必ずネイティブチェックを受けるようにして下さい。日本人による翻訳は低価格ですがなるべく避けるようにしましょう。
イスラム教諸国への豚の絵を使ったページの配信、偶像、足裏の写真などはタブーです。また、中国向けサイトで当局が規制しているキーワードの利用は避けるべきです。過去にはインドでブログにアクセス制限がかかる事例もありました。規制&法令を考慮し、安心、安全な運用をしましょう。
諸外国では日本のように通信事情が整っているわけではありません。また、バイヤーのアクセスは、ホテルや展示会場からくる場合も多くあります。海外向けサイトは、劣悪な通信環境や旧式のパソコン、昔のブラウザでも対応できる、軽く、シンプルなサイトが望ましいと言えます。動画やフラッシュ、流行やデザイン性を追うことは避けましょう。まず見てもらえません。
アメリカ : Google, Yahoo.com
フランス : Google, Skyrock,
ロシア : Vkontakte.ur, Mail.ru, Odnoklassniki.ru
中国 : 百度, QQ, 新浪
韓国 : NAVER, Yahoo.com
タイ : Hi5, Google
検索エンジンサイトがインターネットの主要な窓口であることに世界各国で変わりはありません。それ故、英語版ホームページにおきましても、適切なキーワードを使用することにより、検索エンジンの検索結果から訪問者を呼び込む仕掛けの重要性には変わりがありません。
検索エンジンからより多く訪問者を呼び込むテクニックを、日本ではSEO(検索エンジン最適化)と呼んでいます。英語版ホームページにおいても、基礎になるSEO技術は日本語でホームページを作る場合と同様です。SEOにはいわゆるプログラミングのテクニックで行う最適化と、本質的部分、つまり、内容とページ内で使われるキーワードを選ぶという部分での最適化があります。プログラム技術的なSEOにつきましては、専門書が多数販売されておりますのでそちらをご覧頂くこととしまして、ここでは海外営業を知るものにしかできない、内容、英語キーワードの最適化に焦点を当てて解説して参ります。ホームページ作成時に原稿、内容に埋め込む言葉です。
ホームページのソースを見ますと、上部に「<title>ホームページのタイトル</title>」というタグがあるはずです。これはブラウザ上や検索エンジン上で表示されるホームページのタイトルを決定するタグで、そのページが何について書かれているかが判断される重要な部分になります。ここに検索エンジンで結果として引っかかって欲しいキーワードを埋め込みます。タイトルはページ毎に設定が可能で、それぞれのページの内容に合ったタイトルを付けることができます。
タイトルは後で変更することももちろん可能ですが、ホームページの顔となる部分ですので、最初の段階から十分に検討をされることをお勧めいたします。このホームページのタイトル、および 「<h1>」 見出しタグ内に書かれるキーワードが主に検索結果として表示されることになるからです。グーグルなどの検索エンジンでSEOというキーワードをお調べいただければ、この「<title>」「<h1>」の重要性については解説し尽くされていますので、詳しくはそちらか、または専門書をご覧頂ければと思います。
大切なことは、キーワードは一語である必要はなく、文章であっても構わないということです。よくブラウザにブックマーク(お気に入り登録)をしようとすると、長いタイトルがついてくる時がありますよね?文章でキーワードを詰め込んでいるからです。
では、バイヤーが好んで使うキーワードにはどのようなものがあるのでしょうか?
検索エンジンの取り扱いに慣れてくると、グーグルやヤフーの検索窓に2~3の複数のキーワードを入れて検索をすることが増えてきます。より検索結果を絞り込み、結果の精度を高めるためです。では、各国のバイヤーはどのように情報を絞り込むのでしょうか?
あなたの会社名⇒業態⇒自国名 or 都市名
あなたの会社を既に知っていて、更に詳しくあなたの情報を取ろうとしている人が使うキーワードパターンです。既にあなたを知っているということになり、大きなビジネスチャンスです。
あなたの商品名⇒特徴⇒検索条件 or 出会いの場所
あなたの商品をどこかで見つけ、あなたの会社を探している時にある入力パターンです。特徴の入力がある場合は、直接にメーカーから買う意思がなく、商品を取り扱っている商社を探し出そうとしている場合があります。メーカーが有名大企業の場合に起こります。
ちなみに、チープという言葉は価格が安いという意味ではあまり使われません。価値が低い、安っぽいというイメージになり、ビジネス検索ワードでは使われることは少ないでしょう。また、展示会は「tradeshow」の他、「convention」「conference」「exhibition」「exposition」とも言われます。特徴は上にあげた例以外にも、「beginners」「professionals」「advanced」など使用者のランク分けワードも頻繁に使われます。
集合名詞⇒商品の特徴 or 形状⇒検索条件 or 出会いの場所
漠然と専門分野の商品を探している、まだ候補の商品や会社が見つかっていない場合のキーワードパターンです。こんな商品はないかな、商品探しの最初の一歩です。
商品名そのものではなく、靴、カバン、○○の機械、○○部品、アクセサリー、プログラム、などの商品グループ、カテゴリーを指定してくるパターンです。貴社商品のカテゴリーも、ホームページ内にキーワードとして埋め込んでおきましょう。
あなたの顧客が持っている問題点⇒解決方法⇒解決条件
例えばバイヤーの専門分野が自動車のアクセサリーで、車内の消臭グッズを探したいと思っていると仮定します。あなたならどのようなキーワードを用いて検索しますか?
まず、前述のパターン。つまり、商品の特徴である場合が考えられます。
一方、解決方法や問題点そのものを入力するバイヤーも大勢います。より初期段階の漠然とした商品検索である場合や、新たな切り口で商品を探そうとしているコアなバイヤーの場合もあります。
貴社の商品が解決できる問題をたくさん書きだしてみましょう。それを適切な英語にし、解決方法、Q&A(TIPS)などのページに埋め込みます。固有名詞や専門用語もたくさん使うとよいでしょう。解決方法キーワードには、「tips」「solution」「tools」「cure」「how-to-solve」「know-how」「guide」「instruction」「supplement」が使え、貴社の商材によっては、「book」「CD」「DVD」も直接解決方法を示す手段として使えるでしょう。尚、日本でよく言う「情報」という言葉は、英語では「tips」「solution」と表現される場合が多く、「information」と書くケースは少なめです。
そして条件には、前述の「reasonable」に加え、速攻性「quick」や、「latest」「recent」、更には「organic」「anti/non chemical」などの品質関連用語などが用いられます。また、日本製を指す「made-in-Japan」や「Japanese」などの言葉も多く用いられます。伝統工芸品の産地も検索キーワードとしてはヒットし易くなりますので、貴社の商品によっては、産地、県庁所在地、新幹線の駅名なども含ませたページを作るとよいでしょう。
様々なルートから貴社の情報、ホームページに辿り着いたバイヤーは、まずは貴社の商品情報、会社案内情報などを見ることになります。相手の立場に立った情報提供を行うことで、バイヤーのアプローチをスムーズに呼び込むことができるようになります。
輸入を試みるバイヤーは「安全性」を無意識に求めています。貴社の商品を査定しながら、会社情報を見ながら、“自分にとって安全な存在なのか”を確認しているのです。国際対応が可能な企業なのか、貴社が親切に対応してくれそうな会社か、そして、長期的に安定した取引が可能な会社であるかどうかが見られています。
また、バイヤーは貴社の競合他社も同時に調べ、貴社と比較しています。大きな会社の安定度や知名度を求めることと同時に、日本の小さな会社が比較的行動力や柔軟性に富んでいることを知っているからです。もちろん、商品や価格、取引条件などの比較も徹底的に行われます。「待ち・引き」の営業には、会社のキャラクターをにじませ、商品を十分に説明し、そして、リスクを取りたくないバイヤーを安心させる、積極的な情報提供が求められるのです。
例えば、ホームページからのコンタクトが取りにくい会社、メールアドレスが示されていない会社、電話番号が書いていない(見つかりにくい)会社を日本ではよく見かけます。同じ質問ばかり相手にしていられないよ、と言わんばかりの態度です。お気持ちはよくわかるのですが、外国から初めて取引をしようと考えているバイヤーにとって、一緒に問題を乗り越えようという意識が低い会社は、まず避けられてしまうでしょう。連絡窓口をなるべく広くしておくことが大切です。
そして、バイヤーによっては、このアプローチの段階で、既に自国のマーケット調査を終えている人もいれば、ある程度メーカーと情報交換をしてから自国のニーズの調査をする人もいます。どちらの場合であっても、アプリケーション情報の提供を求められることが多くなります。この「その商品は誰がどこで何のために使うのか?」という情報は、前述のキーワード検索においても重要な情報になります。会社側の想定ユーザーや実例資料を商品別に必ず準備をしておきましょう。
もう一つ、ホームページからコンタクトを募る場合には、事前にある程度の質問に答えてもらうようにしましょう。競合他社のスパイ活動や、ただの売り込みなどを排除するためです。以下にその質問の例を示しますので、ご参考になさってください。
こちらも手間暇かけてホームページを作り込み、コミュニケーション、情報提供を行いますので、バイヤーにもプロフェッショナルな姿勢であってもらいたい、そんな意志を示すためにも事前質問は重要です。回答を面倒くさがるバイヤーはアプローチをしてきませんが、そのようなバイヤーは例えリッチな企業であったとしても、後々トラブルを起こすことになりかねません。
また、多くのブロバイヤーは、「参入障壁が高いもの」しかし「自分には出来るもの」がよいと考えており、エクスクルーシブ(独占)での契約を望んでいます。バイヤーは「独占にしてくれた方がメリットが大きい」「価格競争になれば誰もあなたの商品を本気で売らなくなる」と揺さぶってきますが、貴社の戦略に沿って代理店やパートナーを募集しましょう。更に、日本企業の商品は価格が高いので、付加価値やサービスのよさ、品質のよさで、結局はコストが安くなるというロジックを十分に説明しましょう。「何で中国製とこんなに値段が違うのだ!?」は海外バイヤーのお得意の論法です。挑発に乗らない、ハッタリに動揺しないように交渉をして下さい。
さて、ここまでは、ホームページを海外営業に使うために必要なコンテンツについてご説明して参りました。ここでは、もう少しテクニカルな方法を用い、貴社のホームページの内容を、バイヤーを魅了するキラーコンテンツに仕上げるためのチェック項目リストを公開致します。
続いて、展示会出展をしてみましょう!
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