海外営業員に欠かせない現地に乗り込んでの営業活動。転勤は宿命です。海外進出が製造から販売にその目的を転換するに従い、これまで以上の日本人が海外へ移住をすることになるでしょう。そして、今まで以上に時代に合わせた人生計画を立てなくてはならない時代になるでしょう。ここでは気になる年金問題、将来の生活設計について述べたいと思います。
国内企業の支店・事務所駐在などと雇用関係あり
国内企業の現地法人などから在籍出向・雇用関係あり
その場合・・・
厚生年金 ○
健康保険 ○
雇用保険 ○
労災保険 特別加入手続き
国内企業の現地法人などと現地移籍・雇用関係なし
その場合・・・
厚生年金 × 国民年金の任意加入
健康保険 × 国民健康保険加入(要日本の住民票)
雇用保険 ×
労災保険 現地採用扱いであれば特別加入不可
大切なことはその影響の大きさを知り、しっかりと対策をとっておくことです。将来後悔しないためにも、積極的にリスクマネージメントを!正直に申し上げて、年金にはいくつかの影響がありますので、リスクマネージメントが必要になります。まず、給料がどこから支払われるかに注目して下さい。仮に、日本払い給料が10万円、現地払い給料が40万円相当、合計50万円の給料だとします。日本の保険料の支払いは10万円に対する計算となり支払額が減る、つまり、将来の受給も減るということになります。
会社側も様々な対応しているケースがあります。例えば50万円支払いの扱いにし、相当の保険料を払ってくれるケース、或いは50万円を日本で支払い、現地法人が40万円を返すようにするケースなど様々です。しかし何れも会社の善意の処置の範囲であり、必ずしてくれるものではありません。自分自身が制度を良く知り、対応する必要があります。このような処置をとってくれない会社も多くありますので、年金減額の可能性に備え、養老保険をかける、海外勤務手当てを多くしてもらう、現地法人の給料を増やしてもらうなどの交渉が必要になります。
各国の制度、日本との協定を調べることが大切です。二重に支払って何も貰えない、そんな将来では悲しすぎますね。原則的に、一時的にしか居住しない外国人に対しても、自国の社会保険制度への加入を義務付けているケースが多く、それは、日本との保険料の二重払いや、現地での保険料の掛け捨てに繋がっています。一部、日本と社会保障協定を締結している国では、そのような二重払い、掛け捨てにあたる無駄がなくなるように制度が作られています。例えば5年以内の滞在の場合、相手国での社会保険への加入義務が免除されたり、5年を超える場合は、日本の社会保険を一度脱退し、滞在国の制度に加入し、将来はそれを通算して、それぞれの国から相応の受給資格を得ることができる制度です。駐在が決まった場合には、専門のコンサルタントにご相談下さい。
海外では医療行為はとにかく高額なのが一般的です。日本人が想像する以上に高額で、簡単な盲腸の手術でも200万円を超えるケースすらあります。出張先で病気になる可能性を考えれば、それは大きなリスクです。人一倍、日頃の健康管理が大切な職業であることは言うまでもありません。そして何より、海外出張に出かける際には、海外旅行保険に加入しておきましょう。
海外の医療機関でかかった医療費をいったん本人が全額立て替えます。診療内容明細書等を記載してもらいます。
上記の明細書等を日本語に翻訳します。
健保組合などが該当診療内容を日本の保険診療報酬の点数に直し、本人への還付額を計算します。これは、仮に海外で200万円かかったとしても、日本なら30万円しか掛からないとすれば、30万円から計算されてしまいます。
本人、または会社の口座に振り込みされます。
キャッシュレスメディカルサービスなど
契約した保険金額を限度に実費支給
持病、妊娠出産、歯科治療など
携行品被害、救援者費用、賠償責任
本人が一旦立て替えし、後日保険者に請求
日本で保険診療を受けた場合の金額をベースに支給
保健医療の対象外となる医療行為に対し支払った費用
療養費請求手続きが面倒
海外旅行保険の補償内容は一般的に、死亡後遺障害、傷病治療費用、賠償責任、携行品被害、救援者費用などがあります。通常の保険は、死亡の補償が1億円、5千万円と高額なわりに傷病治療費用の補償が極端に小さく、実際に海外で医療行為を受けた場合に金額が不足する場合があります。保険をかける時は、死亡補償よりも治療費、救援費用の補償の手厚いものを選びましょう。また、クレジットカード付帯の保険の場合、カードを複数種類持っていれば、傷病治療費用補償は合算することができます(死亡補償は合算されない)。
海外駐在をしている場合ですが、40歳以上の方は介護保険の被保険者となります。ただし、介護保険適用除外届出書を提出していれば介護保険料の支払いは免除されます。30代で転勤し、現地で40歳となった人はその時点で提出します。
失業給付の算定基礎となるのは離職日直前6ヶ月の日本払い給料になります。海外勤務中に退職した場合には、日本の会社から離職日前1年間に引き続き30日以上賃金の支払いが受けられなかった労働者の場合(海外勤務であったために)、退職日から最大3年前にさかのぼって日本勤務時の支給額を算定対象にすることができます。しかし3年以上日本から給料が支払われていない場合は受給資格はありません。また、一部でも日本払いがあった場合、その金額に応じた受給額になります。
任意加入で、海外赴任の途中で必要性を感じればその時点で加入が可能です。補償の範囲は申請時に提出した業務内容に限定されるので注意が必要です。また、海外出張時は特別加入の必要はありませんが、労災保険でいう海外出張の定義をよく確認しておきましょう。
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