海外営業員の不正

中国は魅力・魅惑の都市です。人間は誘惑には弱いもの。中国市場を攻める体制を整える段階で、人材リスクは避けて通れません。中国人スタッフの管理ばかりではありません。不正の半分は日本人総経理によるもの。リスクマネージメント・ルールの確立・内部統制が大切です。

日本人的感覚ですと少々心苦しい、信頼するけど信用しないというスタンス。しかしながら、駐在員・現地の事務所を管理する立場として、心を鬼にして取り組まなければなりません。

2026年現在、ZoomやSlackなどのオンラインツールにより本社と現地のコミュニケーションは格段に取りやすくなりました。しかし、ツールが整備されているにもかかわらずモニタリングを怠る経営者が多く、「つながっているから大丈夫」という油断が新たなリスクを生んでいます。デジタル化は内部統制の代替にはなりません。

海外営業部門における経営リスク

海外と関わる部門にとっての経営リスクとは何でしょうか? 洗い出しをしてみましょう。

外部環境リスク

  • 反日的な動き
  • 法律の頻繁な改正
  • 競争激化
  • 地政学リスク・米中対立による規制強化(2026年現在)
  • 急激な為替変動・インフレによるコスト上昇(2026年現在)

業務リスク

  • 従業員の不正
  • 労務問題
  • 債務不履行
  • サイバーセキュリティリスク・情報漏洩(2026年現在)

その他にもリスクは存在し、例えば中国においてはアメリカ並みの消費者意識の高まり・会計士の不正・官僚の汚職なども大きなリスクとして存在しています。2026年現在、中国当局によるデータセキュリティ法・個人情報保護法の厳格化により、現地でのデータ管理リスクも新たな経営課題として浮上しています。

駐在員・現地採用日本人による不正

不正は現地のローカル従業員が起こす、その為に日本人を配置する、それがこれまでの一般的な考えでした。しかし、不正の実態は・・・。日本人は真面目だから大丈夫。そんなことを言っている経営者が未だに多いのが事実。しかしながら、中国をはじめとする魅惑的な新興国での駐在は多くの人の感性を狂わせてしまうことも事実、締め付け・放任・安易な現地化は大きなリスクとなるのです。

日本本社とのコミュニケーションギャップが不正を生む

  • 現地化した連中の言ってることは理解できない!
  • 長く住むとそういう性格になってしまうんだね!
  • そんな態度では日本では通用しないよ!
  • 高い給料・駐在手当があるんだから、それくらいやれよ!

現地の日本人スタッフは諦め、投げやりの気持ち、やらないと損だという気持ちに

  • 本社に言っても無駄だ!
  • 駐在期間を問題なく、無事に終わらせることだけ考えよう!
  • 指示だけを守っていればいいや!
  • これくらい(不正を)やってもいいだろう、こんなに苦労しているんだから!

内部統制・ガバナンスが無いまま現地化させると大変なことに!

日系企業のガバナンスは甘い

本社から人を派遣するだけで管理できると信じ込んでいる、日本人だから無条件に信用する、日本語ができるというだけで信用度が格段にアップしている、でも、それが基準ですか? 人の信頼に基づく統治・責任範囲が不明確・経営責任者の権限にルールがない・投資決定権・人事権がない・売上・利益の目標はあるが、その他はない。無い無いづくしの日本型経営の元、駐在員・現地スタッフの会社への忠誠心は下がる一方です。性悪説に基づいたルール作り・性善説に基づいた経営手法、海外駐在事務所の管理にモニタリング体制・牽制システムは必要不可欠なのです。

2026年現在、クラウド会計ツール・経費精算システム・リモート監査の普及により、本社からリアルタイムで現地の財務状況を把握できる環境が整っています。「現地に任せるしかない」は、もはや言い訳になりません。ツールを活用した内部統制の仕組み作りは、中小企業でも実現可能な時代です。

こんな時は要注意!

  • 経営者が現地の日本人責任者を信用しきっている(怠慢)。
  • 営業報告についてルール化されていない(1年に1度程度しかない)。
  • 監査を日本の顧問税理士が行っている(海外での実質的な監査にならない)。
  • 日本からチェック要員が出張でさえ行くことがない(放置)。
  • サイン権・印章を預けてしまいノーチェック(お金を使ってください、というようなもの)。
  • 現地責任者が親戚を入社させ、会社を私物化し始める。
  • クラウドツール・会計システムのアクセス権限が現地任せになっている(2026年現在)。

こんな事例もある!

  • 領収書発行の収入のみ帳簿に記入され、現金や領収書不要の収入は裏帳簿に。。
  • 仕入れが不明、家賃・賃金の滞納、会計上の処理が全く不明に。。。
  • 売上の横領、架空給料、架空取引、リベート・バックマージンを個人の口座に。。。
  • 個人コンサルタント・地域の役人・取引先まで関係し不正を。。。
  • ライバル社に顧客名簿を求められ、仕入先・代理店からも誘惑が。。。

不正が起こりやすいのはここ!

  • 出張費(架空出張、交通費)
  • 人件費の操作・経費精算(承認プロセスがない)
  • 経費内容と異なる発票(領収書)・手書きの領収書
  • 福利厚生費として自分で払うべき費用を計上
  • クラウドサービス・サブスクリプション費用の私的流用(2026年現在)

不正が起こる理由!

  • ギャンブル・女性・枕営業(見栄・ライバル心・派手な生活への憧れ)
  • 職務権限の曖昧さ(信頼されている立場を利用する、何をやってもばれない体制)
  • 内部統制がない(誰もチェックしない、牽制しない)
  • 過度な自信(自分は経営者だと思い込む)
  • 自分だけではない(他もやっている)
  • 給料が他の会社と比較して安すぎる
  • 一時的に借りるだけだ、という正当化

裏切られた経営者の泣き言

管理責任者は経営者。自分の責任を追及することもなく、曖昧に終わらせがち。真面目に額に汗して働いている社員はあなたの決断を見ています。終身雇用&村社会感覚の根拠のない信頼関係・暗黙の了解・高いと信じているモラル・人数が少ない故に相互牽制が働かず、駐在員・現地採用日本人に裏切られる経営者が後を絶ちません。

不正が発覚した場合、毅然とした態度で臨むことが、他の従業員のモチベーションを守るためにもとても大切になります。残された人間のためにも、曖昧に決着してはいけません。

  • 日本人なので疑いもしなかった。。。
  • 何も考えずに権限委譲をしてしまった。。。
  • 信頼できる人の紹介だったので信頼してしまった。。。

そんな泣き言が後を絶ちません。2026年現在も、この構図は変わっていません。むしろ、現地での活動がオンライン化・ブラックボックス化しやすくなった分、経営者が「見えている気になっている」リスクはかつてより高まっています。内部統制は「信頼」ではなく「仕組み」で担保するという原則を、改めて肝に銘じておきましょう。