ウィーン売買条約

平成21年8月1日から、国際物品売買契約に関する国連条約(ウィーン売買条約・CISG)が発効され、国際売買に適用されるルールが変更になりました。

2026年現在、CISGの締約国は90カ国以上に拡大しており、日本の主要な貿易相手国の多くが加盟しています。国際売買契約を締結する際には、CISGの適用有無を契約書に明記することが、トラブル防止の基本です。

国際物品売買契約に関する国際連合条約とは?

これまで国際的に物品売買の契約が締結される際、いずれかの国の国内法が適用されてきました。しかしながら、この条約が発効することにより、この条約が統一ルールとして適用される事になります。つまり、この条約は国際物品売買契約を規律する統一ルールとなり、世界90カ国以上(2026年現在)が加盟しています。

条約の定めている内容は2つあり、ひとつは売買契約の締結プロセス、そしてもうひとつは売主・買主の権利義務について定めています。これら以外のことについては、これまでどおりにどちらかの国の国内法が適用されることになります。適用範囲はB2B(企業間)取引に限定されます。日本とアメリカなど、異なる国に会社を持つ企業同士の売買契約に適用されますが、この適用は任意であり、当事者同士がこの条約を適用しないと合意している場合は適用されません。

これまでとの主な違い

日本の民法・商法と異なる点も多いので精査する必要があります。主な違いは以下の通りです。

主な相違 国内法 CISG
契約の成立時期 承諾の意思表示が発信された時 承諾の意思表示が申込者に到達した時
申込みと承諾の完全一致の原則 完全一致が必要 違いが本質的でなければ契約は成立する
瑕疵担保の制度 民法上の瑕疵担保責任 他の契約違反と同様
契約違反に対する予防的救済 自己義務の履行停止・契約解除が可能 規定なし

2026年現在、メール・チャット・電子署名など、デジタルコミュニケーションによる契約締結が標準化しています。CISGにおける「到達主義」の観点から、電子メールやメッセージアプリによるやり取りが「承諾の到達」とみなされるタイミングについて、契約書に明確な定めを置くことが重要です。また、AIツールを用いた契約書のドラフト作成が普及していますが、CISGの適用有無・準拠法・管轄裁判所の条項については、必ず貿易専門の弁護士や専門家によるレビューを受けることを強くお勧めします。