海外駐在員の子供の教育問題

海外在留邦人子女数はここ数年も上昇傾向にあり、2005年以降ではアジア(中国)が北米を抜いてトップの位置についています。心配の多い海外での子女教育ですが、滞在年数、地域に関係なく、家庭によって子供は決まることに間違いはなく、家庭での教育、子供との関わり方が子供の人生に大きな影響を与えます。親のせいで不幸になった、と将来言われないように計画を立てて下さい。

海外の教育機関

日本人学校

日本国籍でないと入学できないが、日本の義務教育との連続性、継続性があり、現地の理解を深めるための教育、公用語としての英語の教育も行っている。義務教育のみで、高校はない。

在外教育施設

全日制。中高が多く、大学への系列高が多い。日本人学校が義務教育の範囲(中学校)までしかないので、その先の受け入れ機関として存在している。ニューヨーク慶応など。

国際学校(インターナショナルスクール)

外国人学校もそう呼ばれる。教育システム、カリキュラムなどは学校別になっていて差がある。学校の選択時にはレベルの見極めや評価が必要になる。

現地校

現地の学校。現地の国民教育制度によって運営されている。学年制度、就学基準日などに違いがある。またESL(英語ができない生徒の為の補修コース)がある学校と無い学校とがある。

補修授業校

定時制(主に土曜日)の学校。小中学生が対象だが、幼稚部、高校の部がある学校もある。主に国語(日本語)を中心に教えるが、算数、社会、理科もある。日本語の基礎教育に重要な上、環境的には、子供のストレス発散に良いと言われている。

通信教育・家庭学習

補習授業などに地元から通えない場合には、学習塾や、海外子女教育振興財団の通信教育の制度がある。補習は進学指導を受けられる学校が近くにない場合は受講した方が良い。

学校の選び方

学校はよく考えて決めなくてはなりません。お子様の人生に大きな影響を与える選択です。選ぶ余地の無い地域では仕方がないものの、選択できる場合には、以下の内容についてよく家庭で考えた上で決定してください。

  • 何歳から何歳まで行くのか?何年生になるのか?
  • 本人の資質、性格、能力
  • 滞在地の教育事情
  • 家庭の教育方針

日本人学校を選ぶと現地日本人社会に浸かることになります。せっかくの海外滞在ですので、現地社会への関心、異文化の体験、国際理解を深めるためにも、親自身が積極的に現地コミュニティーや、学校行事に参加していく姿勢が大切になります。対して、現地校、国際学校を選んだ場合には、ESLコースが無い場合には、現地の言葉の習得までに子供がストレスを貯めてしまうことがありますので注意が必要です。また、入学後には、学習、生活両面の適応状態を把握し、サポートし続ける必要があります。日本語学習は補習授業工、通信教育、家庭での会話、読書などを積極的にこなしていく必要があります。

母国語である日本語の教育はどうするのか?

最も避けなければならない事態は、日本語も外国語も中途半端。どちらも上手に話せない状態。しっかりと母国語を身につけさせることが子供の人生を救います。母国語の日本語は、おおよそ小学校4年生までに完成されると言われています。この年齢以降に日本語を学んだ人はネイティブとしての母国語能力形成が困難になります。海外滞の場合、特に日本人学校に通っていない場合、周囲から入ってこない音としての日本語を親が代わりに頭に入れてあげる、語りかけ、読み聞かせなどの音声環境の補完が重要になります。

小学4年生以下くらいの子供の言語能力、例えば英語の場合、およそ2年も現地校に通えば、ネイティブ並みの会話能力を身に付けることができます。但し、英語での学習能力の習得には4年ほどかかり、その期間をこなせれば生涯言葉を忘れ難くなると言われています。つまり、3年程度で帰国すると、成長につれて英語を忘れてしまうという事態が起こります。