海外営業パーソンは出張や赴任で海外に多く出かけていきます。国際情勢の急激な変化に伴い邦人被害のリスクは増大しています。リスクマネージメントは行く人と同時に送り出す人の仕事でもあります。しっかりとした状況把握と準備が致命的な損害を防ぎます。
2026年現在、米中対立・ロシア・ウクライナ問題・中東情勢の緊迫化に加え、サイバー攻撃・ディープフェイクを利用した詐欺・ハニートラップのデジタル化など、リスクの形は急速に多様化しています。「自分は大丈夫」という慢心が、最も危険なリスク要因であることを肝に銘じておきましょう。
精神的安定が困難な海外営業職務。その環境下で地政学的なリスクが更に増大しています。実はテロ事件で亡くなる邦人は殆どいないのですが、凶悪犯罪は増え続けています。
1位 病死
2位 自殺
3位 交通事故
関係先の電話番号リストを紙1枚に印刷しておき、財布やかばん・ポケットに入れておきます。宿泊場所・海外拠点事務所・責任者自宅・駐在員自宅・保険会社・医療機関・日本公館・日本人会・商工会議所現地事務所・医師・日本企業・クレジットカード現地拠点・その他。
2026年現在、スマートフォンに情報を集約しがちですが、端末を紛失・盗難された場合に備え、紙のリストとクラウドへのバックアップを併用することが基本です。外務省の「たびレジ」への登録も必ず行いましょう。
安全なルートの確保や、長期滞在のときに毎日同じルートを使わないなどの工夫をする時には地図が不可欠です。安全な地域・危険地域・警察署の場所なども確認しておきましょう。2026年現在、GoogleマップやOffline Mapsアプリを活用することで、通信環境が不安定な地域でもオフラインで地図を利用できます。ただし、電子機器に頼りすぎず、紙の地図も携行する習慣を持ちましょう。
交通事故を起こした時などは国によってとるべき行動が全く異なることに注意してください。群衆が運転手や同乗者にリンチを加えたり暴行するケースもあり、けが人のケアが第一なのですが、自らは早急に大使館や日本公館に駆け込むべき国もあります。また、現地の警察も信用できません。過失の判断がつかない場合には、早計に過失を認めたり、謝罪したりしない方が良いでしょう。また、内容のわからない書類にはサインをしないこと、そして、身柄を拘束された場合には、日本公館に速やかに連絡し、必要があれば館員の派遣を要請しましょう。荷物は盗難に遭う程度ならまだ良いほうです。薬物を入れられ密告すると脅されたり、逮捕されたりすることもあります。東南アジアでは日本よりも重罪ですので、特に注意して下さい。
領事局海外邦人安全課
領事局邦人テロ対策室(テロ・誘拐)
海外安全相談センター
日本公館
外務省海外安全情報(スマートフォンアプリ「海外安全」・「たびレジ」)
国際部
JETRO
JICA
社団法人在外企業協会
※安全マニュアルの雛型の入手可能
日本経済団体連合会
経済同友会
日本商工会議所
外務省の渡航管理情報では、5段階に分けて文章で表現されていますが、外務省は実際に在留邦人がいる国では、危険度5に相当する「退避を勧告します」を出せません。勧告を出すことで生じるビジネスリスクが大きくなると、実際に危険度がそれほどでもなかったとの批判に絶えられないからです。実際は、渡航の延期・退避という表現が出てきたら、早急に対策を講じた方が良いでしょう。それが最も危険という意味でもあるからです。
2026年現在、外務省の「海外安全情報」はスマートフォンアプリやメール配信でリアルタイムに確認できます。出張・赴任前の確認はもちろん、滞在中も定期的に情報をアップデートする習慣が身を守ります。
地震や台風・津波も日本だけのものではありません。自然災害への対策は日本のそれと大差はありません。確実に実行しましょう。政情変化でよくあるのは暴動・クーデターです。数日で収まる場合が多いので、宿泊先で冷静に周囲と連絡を取り合い、テレビなどで情報を得ましょう。決して、見物や撮影などをしないことです。また、日本ではテロは起こり難いですが、日本人は標的にされやすいので海外では注意が必要です。
最近増えているのは、いわゆる枕営業、ハニートラップです。アジアに出かけると、そこら中で日本人の買春光景を目にします。そして、日本人はなぜかカラオケバーなどで名刺を配ってしまう傾向があります。その手の店は公安と繋がっている場合が多く、恐喝されたり逮捕されたり大変な事態を招きます。2026年現在、SNSやマッチングアプリを通じたデジタルハニートラップも急増しており、オンライン上での不用意な個人情報の開示・親密な関係構築にも十分な警戒が必要です。
誘拐の殆どは通勤時・仕事に向かう途中で発生します。長期滞在の時は、たまにルートを変えるなどの工夫が必要です。犯人は常に数名をマークしており、警戒していると分かる人・リスクマネージメントが出来ている人を対象から外していきます。また、ゴルフ場・スポーツジムなど、定期的・定時に通い、行動パターンが分かりやすくなる場所に行く時は気をつけてください。
実際に危機が発生している時は、常に現場の判断を優先し、現地責任者の決定事項を最優先、その内容については免責するのが基本です。いちいち本社に確認を強制していると、現場は何も判断しなくなり、対応が遅れ更に大きな危機を招くことになります。オーナー権限が強過ぎる企業などは特に注意してください。
2026年現在、ZoomやSlackなどのツールで本社と現地がリアルタイムでつながれる環境が整っています。しかし、「つながれる」ことと「任せる」ことは別物です。緊急時の意思決定権限・エスカレーションルールを平時から明確にしておくことが、クライシスマネージメントの最重要課題です。BCP(事業継続計画)の整備と定期的な訓練を、海外拠点を持つ全ての企業に強くお勧めします。
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