EAR規制

EARとは米国商務省産業安全保障局が管轄している法律で、いわゆるアメリカ版の輸出管理です。米国から貨物(汎用品)、ソフトウェア、技術を海外へ輸出、若しくは再輸出をする時に適用されるものです。米国製品を扱う日本企業も適応の対象になる可能性があります。

米国製品(米国原産品)の定義は、「米国で生産された品目(所在に関わらず)」、「外国製品で、特定の割合を超えて米国規制品目が含まれている製品(組み込み品と呼ぶ)」、「外国製品で、特定の米国規制技術が使用されている製品(直接製品と呼ぶ)」の3種類です。

EAR対象品目の全てに米国商務省からの輸出(再輸出)許可が必要という訳ではありません。許可が必要か否かは、「何を輸出するか?」、「どの国へ輸出するか?」、「誰が受け取るか?」、「何のために使用されるか?」によって決定されます。また、製品だけでなく、米国人・米国人以外の外国人の特定の活動、技術やソースコードの外国人への移転(技術移転や、ソフトウェアのソースコードの開示なども輸出とみなされます)なども規制対象になることがありますので注意が必要です。また、再輸出取引が許可を必要としても、EARのパート740に記述されている許可例外が適用可能となる場合があります。許可例外は、当該取引が許可例外の適用条項をすべて満たしていることを条件として、許可申請をすることなく品目を再輸出することが認められます。

EARによる規制対象となる品目であるか否かを判断する方法

STEP1 : まず以下の何れかに該当しないか確認します。

ア. 米国で生産されたもの、又は、米国原産品目であるか YES→2-Aへ
イ. 特定の割合を越えた米国規制内容物を含む外国産製品であるか YES→2-Bへ
ウ. 米国原産の特定の技術またはソフトウェアを用いて製造され、特定の仕向け地への出荷が意図された外国産製品か YES→2-Cへ
エ. 米国外に所在する工場もしくは工場の主要部分で製造された製品であり、及び当該工場もしくは工場の主要部分が特定の米国技術またはソフトウェアの直接的製品であり、特定の仕向地へ出荷されることが意図された製品か YES→2-Dへ

STEP2 : 対処方法を確認します。

2-A:

米国で生産されたもの、又は、米国原産品目である場合:(例えば、テキサス工場で作られたラジオ)米国で生産された品目、あるいは米国原産品目を再輸出するには、産業安全保障局(BIS)からの再輸出許可の取得が必要な場合があります。再輸出とは、EARの対象となる品目を米国以外の国から別の外国へ出荷あるいは伝送することを意味します。再輸出はさらに、EARの対象となる技術またはソフトウェア(ソースコード)が外国から他の国の外国人に開示された場合にも発生します。EAR対象の多くの品目は、外国から別の外国に再輸出される場合に許可を必要としませんが、特定の規制品目については、再輸出許可が必要か、或いは許可例外の条件を満たす必要があります。

規制対象か否かの判断に必要な3つの情報
規制分類番号(Export Control Classification Number ; ECCN): 規制品目リスト(Commerce ControlList : CCL)(EARのパート774)に掲載されており、規制分類番号(ECCN)が割り当てられています。(※当該品目が規制品目リスト(CCL)に記載されていない場合、EAR99として分類される場合があります。)つまり、まず、CCLに記載されているか、またはEAR99に分類されているか、で判断します。もしそうであれ規制対象です。
参考 : CCLとは、規制品目リスト(CCL : Commerce Control List)を意味し、記載されている製品はEAR対象品目の中でも注意が必要なものです。
ECCNとは、CCLにリストされている品目にふられている規制目番号(ECCN : Export Control Classification Number)のことです。EAR99とは、CCLに載っていないEAR対象品目が分類されるカテゴリのことです。ローテクの消費財が多く、商務省の許可なしで輸出可能な場合が多くあります。但し、あくまでもEAR対象品目なので、制裁国、テロ支援国などへ輸出(再輸出)する場合には注意が必要です。
品目の最終仕向地: CCL(EARのパート774)のECCNに記載された規制理由を、カントリーチャート(EARのパート738)の最終仕向地と照合します。規制理由とカントリーチャートによって、最終仕向地において許可が必要か否かを判断します。再輸出取引では許可が必要であると判断した場合、EARで許可例外(EARのパート740)を適用できるかどうかを検討します。
エンドユーザー(最終使用者)及び、エンドユース(最終使用目的): 最終仕向地に基づき許可は必要ない(或いは許可は必要であるが、一般的に許可例外が適用される)と判断した場合でも、エンドユーザーやエンドユースによっては許可申請が必要となる場合があります。EARが特定する人(または事業体)、並びに兵器拡散活動に関与していることを知っている、あるいは知っているとする理由がある人に対しては特定の特殊規制が適用されます。殆どの場合、EARの対象となるすべての品目(すなわち、CCLに記載されたすべての品目およびEAR99に分類されるすべての品目)の再輸出に関して、EARパート744で特定された人には許可が必要となります。
2-B:

特定の割合を越えた米国規制内容物を含む外国産製品である場合:(例えば、アメリカの規制内容物を一定の割合以上含んでいる日本製の扇風機)
多くの日系製造メーカーに関係するのがここになります。上記の通り、特定の外国産品目もまた、指定された割合値を越えた米国原産規制内容物を含んでいる場合EARの対象となるからです。当該外国製品がEARの対象となると判断された場合、上記の米国原産品と同様の手順に従い、当該製品に許可が必要かどうかの判断が必要です。

指定された割合値を越えた米国原産規制内容物を含むかの判断プロセス
ア. EARに示された方式で、米国から輸出された米国原産部品、もしくは構成部分を分類します。
イ. 米国原産部品もしくは構成部品が規制内容物(CCLに記載されているか、またはEAR99に分類されているか)であるかどうかを判断します。
ウ. 米国規制内容物が、最終仕上り外国製品の価値の25%を越えるかどうかを判断します。(テロリスト支援指定国に関しては、米国規制内容物が最終仕上り製品の価値の10%を越えるかどうかを判断する必要があります。)

米国規制内容物が最終仕上がり製品の価値の25%以下(もしくは、該当国に関しては10%以下)である場合、EARのパート734.4に示されたデミニス(deminimis)ルールの条件を満たしており、その製品はEARの対象とはなりません。そして、規制コンテンツが25%(該当国に関しては10%)を越えている場合、当該製品はEARの対象となります。製品がEARの対象となる場合、上記2-Aに戻り、その品目が許可を必要とするか否かを最終仕向国、もしくは特定あるいは不特定のエンドユーザーにより判断する必要があります。

2-C:

米国原産の特定の技術またはソフトウェアを用いて製造され、特定の仕向け地への出荷が意図された外国産製品の場合:(例えば、アメリカ製のソフトを使って開発され、イラン向けに生産した乾燥機)

米国原産技術で生産された直接的製品は、以下の条件を満たした場合規制対象!
ア. 特定の仕向地を意図した製品で
イ. 国家安全保証規制の対象となり(米国原産品である場合)
ウ. 基盤とする米国原産技術またはソフトウェアが米国から輸出された際に、受取人から書面による確約書(Written Assurance)を必要とされた場合

※詳しくはEARパート734.3(a)(4)項およびパート736.2(b)(3)項をご覧ください。

2-D:

米国外に所在する工場もしくは工場の主要部分で製造された製品であり、及び当該工場もしくは工場の主要部分が特定の米国技術またはソフトウェアの直接的製品であり、特定の仕向地へ出荷されることが意図された製品である場合:(例えば、静岡工場(その静岡工場が使用している主要設備がアメリカ製)でイラン向けに生産した炊飯器)

当該外国工場または工場の主要な構成部分により生産された製品は、以下の条件を満たした場合規制対象です。
ア. 特定の仕向地を意図した製品で
イ. 国家安全保証規制の対象となり(米国原産品である場合)
ウ. 工場または工場の主要構成部分が基盤とする技術が米国から輸出された際に、受取人から書面による確約書(WrittenAssurance)を必要とされた場合

※ EARパート734.3(a)(5)項およびパート736.2(b)(3)項をご覧ください。