EU森林規則対応、営業が見積前に確認すべき原産地と証明書

営業が最初に見る確認範囲
対象商品を先に分ける
2026年5月18日時点で、EUの森林破壊防止規則は原産地確認を法務や貿易管理だけの話ではなくしています。制度の詳細は専門部署の領域ですが、顧客から最初に問い合わせが来るのは担当営業です。
木材、コーヒー、カカオ、大豆、パーム油、牛、ゴムなどに関係する商品では、原料や部材の由来を後から探すほど時間がかかります。見積の前に対象かどうかを分けることが、納期遅れや回答保留を防ぎます。
| 確認項目 | 営業が見る理由 | 社内で渡す先 |
|---|---|---|
| 商品と原材料 | 対象範囲に入るかを早く見分けるため | 商品企画、調達 |
| 原産地の説明 | 顧客が証明を求める可能性を見るため | 工場、仕入先 |
| 証明書の有無 | 見積回答に必要な時間を読むため | 品質、法務 |
見積後に止まりやすい場面
価格だけ先に返す危うさ
海外営業では、急いで価格だけ先に返したくなる場面があります。ところがEU向けでは、顧客が後から証明書やトレーサビリティを求めてくると、商談がそこで止まります。価格が安くても、確認に手間取れば採用候補から外れやすくなるでしょう。
商社経由や部材販売では、自社が最終輸出者でなくても顧客から質問が飛んできます。営業が制度判断まで背負う必要はありません。分からないまま断定して返すことが、現場では一番痛い失敗です。
社内確認を後回しにした時のズレ
営業が聞いた内容を調達、品質、法務に渡す時、商品名だけでは足りません。顧客がどの国へ出すのか、どの原料を気にしているのか、証明書の提出期限はいつか。この3点がないと、社内の確認が何度も戻ります。
営業担当は法律判断をしません。対象かもしれない商品を見つけ、顧客の質問を具体化し、専門部署へ渡す役割に集中してください。
今日から使う聞き方
顧客への最初の質問
顧客には、難しい制度名から入らない方が伝わります。まず「EU向けの確認で、原産地や証明書の提出予定はありますか」と聞きます。相手が詳しくなければ、最終販売国・対象商品・提出期限の3点に絞って確認しましょう。
この聞き方なら、営業未経験者でも商談を止めずに進められます。分からないことを分からないままにせず、確認項目へ変えることが肝心です。
- EU向け案件かを最初に聞く
- 原材料と部材の国を確認する
- 証明書の形式と提出期限を聞く
- 未確認事項は見積条件に明記する
- 判断は法務や貿易管理へ戻す
見積書へ残す一文
見積書には「原産地証明や規則対応資料は別途確認」と残しておくと、後で顧客と社内の認識が合いやすくなります。最初から完璧に答えるより、確認中の条件を見える形にする方が実務では安全です。
社内共有で残す営業メモ
担当部署が動ける形にする
営業メモには、顧客名、対象商品、EU向けかどうか、原材料、仕入先、顧客が求めた証明の種類を分けて書きます。文章で長く説明するより、未確認と確認済みを分ける方が、社内の担当者は動きやすくなります。
顧客への返事では、確認中の項目と回答予定日を合わせて伝えます。たとえば「原材料の原産地と証明書の形式を確認し、〇日までに見積条件として戻します」と言えば、相手も社内で待つ理由を説明できます。
実務で意外と見落とされがちなのが、営業が不安そうに見せないことです。確認が必要な項目を先に押さえた姿勢で話すと、顧客は安心します。逆に、後から慌てて聞き直すと、最初の見積全体が頼りなく見えてしまいます。
社内には、顧客が急いでいる背景も添えてください。展示会前、入札前、既存仕入先の切り替えなど、急ぎの理由が分かると、品質や調達の優先順位も付けやすくなります。
たとえば家具部材の相談なら、完成品だけでなく木材や接着材の情報が必要になることがあります。営業が「完成品名だけでよい」と思い込むと、後で仕入先まで確認が戻ります。
最初の商談で全部そろわなくても構いません。今ある情報、これから確認する情報、顧客に聞き返す情報を分けておけば、次の連絡が具体的になります。
この準備をしておくと、営業は「確認します」で終わらず、「何を、誰に、いつまでに確認するか」まで言えます。顧客はそこを見ています。
制度名を詳しく語るより、次の動きを明確にすること。それが現場では一番効きます。
- 確認済みの項目と未確認の項目
- 顧客が求める提出書類の形式
- 社内で回答責任を持つ部署
- 顧客へ戻す予定日
よくある質問
営業担当がEUDRの対象判断まで行うべきですか?
いいえ。営業担当は判断者ではなく、確認の入口です。対象商品、原産地、証明書、提出期限を集め、法務や貿易管理に渡すところまでを担当すれば十分です。
顧客から急ぎで価格だけ求められたらどうしますか?
概算価格を出す場合でも、原産地や証明書の確認が残っていることを同時に伝えます。先に条件を書いておけば、後から価格や納期を見直す時も説明しやすくなります。
参考情報
参考: European Commission, Regulation on Deforestation-free Products
最終確認日: 2026年5月18日


