タイ向けTISI規格で見落としやすいラベル条件の確認

営業が最初に見る確認範囲

商品分野を分ける

タイの標準化を担っているのがTISI。商品分野ごとに任意規格と強制規格があり、どちらに該当するかで商談条件が大きく動きます。見積前にここを整理しておくと、後の手戻りはぐっと減ります。制度の細部は専門部署の領域ですが、顧客から最初に質問が飛んでくる相手は、たいてい営業担当。

最初の一手はシンプル。「この商品、タイ側でTISI規格やラベル条件の対象に入っていますか」と一言尋ねるだけです。難しい制度説明を並べるより、確認項目を分けて聞くほうが、見積・納期・資料準備の手戻りはぐっと減ります。

確認項目営業が見る理由社内で渡す先
商品分野を分ける対象範囲に入るかを見分けるため品質、現地代理店、法務
強制規格の有無を見る見積条件と納期が変わるため品質、物流、法務
ラベルと輸入者の役割を聞く顧客への回答期限を決めるため営業、貿易事務

見積後に止まりやすい場面

価格だけ先に返す危うさ

急かされて価格だけ先に返してしまう。海外営業なら、一度は経験のある場面ではないでしょうか。ところがTISI規格やラベル条件を後回しにすると、見積後に試験・表示・輸入者側の確認が次々と出てきます。価格は合っているのに資料や表示条件で止まれば、相手の社内稟議までまとめて道連れ。

制度判断まで営業が抱え込む筋合いはありません。ただ、確認すべき論点を見落としたまま見積を出してしまうと、価格・納期・責任範囲をもう一度ゼロから説明し直す羽目になります。

社内へ渡す情報不足

品質・現地代理店・法務に相談を持ちかけても、商品名と国名だけでは相手も動きようがないのが実情。用途、最終販売国、顧客が求める資料、回答希望日まで揃えて投げれば、確認の戻りはぐっと少なくなります。

実務ポイント

営業担当が法令の判断を下す立場ではありません。顧客の質問を、対象商品、提出資料、責任者、期限に分けて専門部署へ渡す入口役に徹してください。

今日から使う聞き方

顧客への最初の質問

顧客にはまず「この商品、タイ側でTISI規格やラベル条件の対象に入っていますか」と尋ねてみてください。相手が詳しくないようなら、最終用途、提出資料、希望納期を一つずつ分けて押さえていけば大丈夫です。

商品分野、TISI、ラベル条件を見積前に聞く。これは、現場で長く使われ続けている王道の手順です。専門用語をずらずら並べるより、次に誰が何を確認するのかを整理したほうが、商談は確実に前へ進みます。

  • 商品分野を分ける
  • 強制規格の有無を見る
  • ラベルと輸入者の役割を聞く
  • 未確認事項を見積条件に残す
  • 専門部署の回答予定日を顧客へ伝える

見積書へ残す一文

見積書には「規格、表示、認証、申請資料は別途確認」といった前提を一行差し込んでおく癖をつけたいところ。細かい話に見えますが、後から条件変更が出た時、「最初から書いてあった」というこの一言が効いてきます。

社内共有で残す営業メモ

担当部署が動ける形にする

営業メモには、顧客名、対象商品、輸出先、最終用途、顧客が求めた資料、回答期限を項目ごとに分けて書き出します。文章で長々書き連ねるより、確認済みと未確認を表で分けたほうが、専門部署は格段に動きやすい。

顧客への返事では、確認中の項目と回答予定日を必ずセットで返す。なぜ確認が必要なのかを一言添えるだけで、相手も自社内で「待ちの理由」を説明しやすくなります。

見落としやすいのが、この伝え方のトーンです。不安そうに見せず、確認が必要な項目を先に洗い出したという姿勢で話すと、顧客の受け取り方がまるで変わります。

社内へ回す時は、顧客が急いでいる背景も一言書き添えておくこと。展示会前なのか、入札が迫っているのか、既存仕入先の切り替えなのか。理由が見えれば、専門部署も優先順位をつけやすくなるはずです。

同じ商品でも、用途や販売国が変われば必要書類はまるごと別物になります。型番だけで話を進めてしまうと、後でちゃぶ台返しを食らう場面が珍しくありません。どこで誰が使うのかを、必ず最初に押さえておきましょう。

初回見積の段階では、価格・確認中の条件・確定予定日をきちんと分けて伝えるのが鉄則。新規顧客ほど、確定情報と仮置き情報を同じ文章にごちゃ混ぜにしないことがものを言います。購買担当が上司にメールを転送した瞬間、どこが未確定かが一目でわかる形にしておけば、余計な問い合わせも飛んでこないでしょう。

海外営業は、制度名を暗記する仕事ではありません。顧客の質問を整理し、社内の専門部署が動けるだけの材料を揃える。これが本来の役どころです。専門部署へ相談を持ち込む際も丸投げは禁物で、営業が聞いた背景と顧客の希望納期を添えるだけで、回答の優先順位がはっきり立ちます。

確認事項を短くまとめておくほど、顧客も自社内で同じ言葉を使いやすくなります。結果として追加の質問は減り、次の商談に進むスピードも一段上がってきます。商談後のメールで「今日確認できたこと」「次回までに確認すること」「顧客にお願いすること」、この三つに切り分けて書くだけで、海外案件の停滞は驚くほど少なくなります。

  • 対象商品と最終用途
  • 輸出先または販売先の国
  • 顧客が求める資料と期限
  • 社内で回答責任を持つ部署

よくある質問

営業担当が制度や規格の最終判断まで行うべきですか?

いいえ、そこまで抱え込む必要はありません。営業が担うのは確認の入口まで。対象商品、提出資料、期限を集めて品質・法務・貿易事務へ手渡す、そこまでが守備範囲です。

顧客から急ぎで価格だけ求められたらどうしますか?

概算価格を出すにしても、確認中の条件は必ずセットで伝えておくこと。前提を最初に明記しておけば、後から価格や納期を見直す場面でも「条件が変わったので」の一言で片がつきます。

参考情報

参考: International Trade Administration, Thailand – Standards for Trade

最終確認日: 2026年5月21日