海外営業パーソンは出張や赴任で海外に多く出かけていきます。国際情勢の急激な変化に伴い邦人被害のリスクは増大しています。リスクマネージメントは行く人と同時に送り出す人の仕事でもあります。しっかりとした状況把握と準備が致命的な損害を防ぎます。
精神的安定が困難な海外営業職務。その環境下で地政学的なリスクが更に増大しています。実はテロ事件で亡くなる邦人は殆どいないのですが、凶悪犯罪は増え続けています。
1位 病死
2位 自殺
3位 交通事故
関係先の電話番号リストを紙一枚に印刷しておき、財布やかばん、ポケットに入れておきます。宿泊場所、海外拠点事務所、責任者自宅、駐在員自宅、保険会社、医療機関、日本公館、日本人会、商工会議所現地事務所、医師、日本企業、クレジットカード現地拠点、その他。
安全なルートの確保や、長期滞在のときに毎日同じルートを使わないなどの工夫をする時には地図が不可欠です。安全な地域、危険地域、警察署の場所なども確認しておきましょう。
交通事故を起こした時などは国によってとるべき行動が全く異なることに注意してください。群集が運転手や同乗者にリンチを加えたり暴行するケースもあり、けが人のケアが第一なのですが、自らは早急に大使館や日本公館に駆け込むべき国もあります。また、現地の警察も信用できません。過失の判断がつかない場合には、早計に過失を認めたり、謝罪したりしない方が良いでしょう。また、内容のわからない書類にはサインをしないこと、そして、身柄を拘束された場合には、日本公館に速やかに連絡し、必要があれば館員の派遣を要請しましょう。荷物は盗難に遭う程度ならまだ良いほうです。薬物を入れられ密告すると脅されたり、逮捕されたりすることもあります。東南アジアでは日本よりも重罪ですので、特に注意して下さい。
領事局海外法人安全課
領事局法人テロ対策室(テロ・誘拐)
海外安全相談センター
日本公館
国際部
JETRO
JICA
社団邦人日本在外企業協会
※安全マニュアルの雛型の入手可能
日本経済団体連合会
経済同友会
日本商工会議所
外務省の渡航管理情報では、5段階に分けて文章で表現されていますが、外務省は実際に在留邦人がいる国では、危険度5に相当する「退避を勧告します」を出せません。勧告を出すことで生じるビジネスリスクが大きくなると、実際に危険度がそれほどでもなかったとの批判に絶えられないからです。実際は、渡航の延期、退避という表現が出てきたら、早急に対策を講じた方が良いでしょう。それが最も危険という意味でもあるからです。
地震や台風、津波も日本だけのものではありません。自然災害への対策は日本のそれと大差はありません。確実に実行しましょう。政情変化でよくあるのは暴動、クーデターです。数日で収まる場合が多いので、宿泊先で冷静に周囲と連絡を取り合い、テレビなどで情報を得ましょう。決して、見物や撮影などをしないことです。また、日本ではテロは起こり難いですが、日本人は標的にされやすいので海外では注意が必要です。テロというと爆弾をイメージしますがそれだけではありません。
最近増えているのは、いわゆる枕営業、ハニートラップです。アジアに出かけると、そこら中で日本人の買春光景を目にします。そして、日本人はなぜかカラオケバーなどで名刺を配ってしまう傾向があります。その手の店は公安と繋がっている場合が多く、恐喝されたり逮捕されたり大変な事態を招きます。誘拐の殆どは通勤時、仕事に向かう途中で発生します。長期滞在の時は、たまにルートを変えるなどの工夫が必要です。犯人は常に数名をマークしており、警戒していると分かる人、リスクマネージメントが出来ている人を対象から外していきます。また、ゴルフ場、スポーツジムなど、定期的、定時に通い、行動パターンが解り易くなる場所に行く時は気をつけてください。
実際に危機が発生している時は、常に現場の判断を優先し、現地責任者の決定事項を最優先、その内容については免責するのが基本です。いちいち本社に確認を強制していると、現場は何も判断しなくなり、対応が遅れ更に大きな危機を招くことになります。オーナー権限が強過ぎる企業などは特に注意してください。
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