新興国【ラオス・ブラジル・ケニア】の2016年の展望とは?

ブラジル

世界経済は緩やかな成長に留まっています。
新興国がアメリカの利上げなどに伴い、元気がありませんね。

中国も、この先大変なことになるのかもしれません。

注目の国・ラオス

ラオスのビエンチャンでは1人当たりのGDPが4000ドルを超え、購買力のある市民の間では自動車や家電をはじめ、日本製品への人気が高まっています。
当物産展をきっかけにジャパンブランドへの関心を一層高められればと期待されています。メコン川の豊富な水資源や鉱物資源に恵まれているラオスの経済成長率は近年7~8%台と高い伸びを示してきました。

この高成長を牽引しているのが、主に以下に対する海外からの活発な投資です。

・水力発電
・鉱山開発
・ビル建設

2015年は財政赤字と貿易赤字の高まりを受け財政出動を抑えた事や、世界的な鉱物価格の下落により経済成長率は6%台へと鈍化しました。
2016年は電力事業の本格稼働などにより7%台に回復すると見込まれています。

ラオス今後の展望

2016年はアセアン経済共同体(AEC)が本格的にスタートする年、つまりAEC元年となります。
この重要な年にラオスは「アセアン議長国」を務めます。
多くの国際会議が予定されるビエンチャンでは、ホテルの建設が急ピッチで進められています。

また、ラオスはメコン地域の国々(タイ、ベトナム、カンボジア、ミャンマーや中国)と国境を接しています。

AECを契機に越境交通協定(CBTA)の運用が加速すれば、複数カ国をまたくサプライチェーンの構築が容易となり、ラオスだけでなく地域全体としての魅力が一層高まるものと期待されています。

以下のような日系企業進出も増加しています。

・製造業の進出
他国にある工場のコスト削減・リスク分散の為、ラオスに生産分業拠点を設立

・サービス業の進出
ラオスを市場として捉えた、卸、小売、金融、不動産仲介などのサービス業の進出

オリンピックの国・ブラジル

2016年8月に開催されるリオオリンピック開催に向け、各地で着々と準備が進められています。
オリンピック開催まで1年を切りましたが、競技施設や交通インフラの工事の遅れが懸念されており、急ピッチで工事が進められています。

2015年のブラジル経済成長の見通しは-3%前後でした。ブラジルの経済成長はこれまでコモディティ(主要原料)輸出と内需が牽引していましたが、中国の経済失速に伴い鉄鉱石や大豆などの価格が低下しました。

これが貿易黒字の減少、財政悪化、内需縮小を引き起こしています。

さらに国営石油公社、ペトロブラス(Petrobras)汚職に端を発する政治不信も重なり、政治経済運営に不透明感が漂っています。
2009年、リオデジャネイロオリンピック開催決定時には国全体が歓喜に沸いたブラジルでは、財政負担を強いられるオリンピックを歓迎しないムードもあります。

ブラジル今後の展望

2016年の経済成長率も-2%と厳しい状況が予測されています。
連邦政府は輸出拡大や歳入増を目指していますが、大統領支持率低下もあり、財政改革を容易に実行できずにいます。

しかし、2億人という巨大新興市場を抱えるブラジルでは、割安となった投資コストやインバウンドを狙ったビジネスチャンスが増えてきています。
例えば、旅行代理店H.I.Sはサンパウロに続きリオデジャネイロにも支店をオープンしました。
レアル安による外国人旅行客の取り込みやブラジル人客の獲得を通じた事業拡大を狙っています。

日本の100円ショップダイソーも2012年に1号店をオープンし、サンパウロ中心部に3年間で18店舗まで拡大しました。
他にも寿司をはじめとする日本食など、クールジャパンも人気となっています。

アフリカの希望・ケニア

サハラ砂漠より南に位置するサブサハラ・アフリカ諸国は最後のフロンティアと呼ばれ、世界中が注目する新興市場です。
資源価格が高止まりしたこの10年間、5%前後の経済成長率を記録し、ケニアを含む東アフリカ諸国でも引き続き高い経済成長が見込まれています。

人口増加、天然資源に加え、サービス産業やICT産業が発展し経済成長が続いた結果、アフリカにも中間層が育ってきました。ケニアを中心とする東アプリカ諸国にも多数のショッピングモールがオープンし、多くの市民が消費を謳歌しています。

しかし、サブサハラアフリカ経済は以下のような不安要因があります。

・社会インフラ整備(都市化に伴う交通渋滞対策など)
・治安問題
・資源価格の下落

ケニア今後の展望

各国政府は難しい舵取りを強いられています。ケニア経済にとって、外国からの企業誘致は経済成長を続けて行く上で欠かせません。
ケニア政府は投資誘致機能の強化を図る為に投資庁にワンストップサービスの機能を持たせ、迅速な企業活動の立ち上げを支援して行く予定です。

また、ケニア国内でのテロの発生が貴重な外貨獲得手段である観光産業に大きな影響を及ぼしています。
日本企業にとってもアフリカは魅力的な市場となっているようで、近年は多数の日本企業がアフリカに進出しています。

2016年以降の一層の経済成長は政府の治安対策強化にもかかっていると言えます。

新興国の発展は日本企業にとってもビジネスの幅を広げるチャンスとなります。活気ある市場の動向に2016年も注目して行きたいと思います。